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HEALTHCARE : 健康

DATE : 2019.05.23

かかるお金は、治療費、入院費だけじゃない。~乳がん経験者座談会 [第5回]~

乳がんの経験がある女性たちが、本音で語り合う座談会。「美容」をテーマにした第4回では、副作用による脱毛や肌のくすみに悩まされながらも、きれいになることを楽しんでいる様子も伺えました。
いよいよ最終回。ラストの第5回のテーマは「お金」です。公的な健康保険が適用されるとはいえ、自己負担額もかなり大きい乳がんの治療費。さらに、乳房を再建するとなると、それなりの費用がかかります。その他にも、さまざまな出費が……。既婚、シングル、子どもあり、シングルマザーと、それぞれ境遇が異なる彼女たちも、お金についてはいろいろ悩まされているようです。

座談会メンバー プロフィール


進行役(写真中央)
ファイナンシャルプランナー 黒田尚子さん
各種セミナーや講演、新聞・書籍・雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談など、幅広く活動。がんをはじめ、病気に対する経済的備えの重要性を訴えている。
自身も、2009年12月に乳がんの告知を受け、右乳房を全摘出。その後、インプラント法で乳房を再建。2011年3月に乳がん体験者コーディネーター資格を取得。
家族:夫、娘(中学生)

参加者 (写真左から)
一関加奈女さん(40代)
2016年12月に乳がんの告知を受ける。両乳房全摘出し、リンパ節郭清、抗がん剤とホルモン療法で治療。現在もホルモン療法を続けている。
職業:大学病院の秘書。 家族:夫

内田美奈さん(30代)
2014年12月に乳がんの告知を受ける。左乳房全摘出し、ホルモン療法で治療。その後、インプラント法で乳房を再建。現在もホルモン療法を続けている。
職業:動物病院の看護師兼花火師。 家族:夫、息子2人(中学生・小学生)

附田香織さん(40代)
2017年11月に乳がんの告知を受ける。左乳房全摘出し、組織拡張器(エキスパンダー)を同時挿入。抗がん剤で治療。もうすぐ自家組織で乳房再建の予定。
職業:アパレル販売会社社員兼フリーのヘアメイク。 家族:シングル

桜林芙美さん(30代)
2015年12月に乳がんの告知を受ける。左乳房全摘出し、リンパ節郭清、抗がん剤・放射線・分子標的薬で治療。その後、肺への転移がわかり、抗がん剤治療を経て、現在は分子標的薬で治療。
職業:ダンス関係アシスタント。 家族:娘3人(小学生・幼稚園)、両親、犬、猫

がん特約の保険、入ってたのに。


黒田:ファイナンシャルプランナーという仕事柄、お金の問題はとても気になります。保険診療にかかる医療費は、公的医療保険が適用されますが、それでも自己負担額はかなり大きいですよね。

桜林:シングルマザーなので、自治体の「ひとり親家庭等医療費助成制度」も利用しました。くやしかったのが、民間のがん特約と女性疾病特約を付けた保険を解約していたこと。解約したときは、まだ若いから大丈夫だろう、それより娘たちのためにお金を使いたいと思ったんです。そろそろ、また加入しようと思っていた矢先でした。

附田:そのくやしさ、よくわかります。私は、友達3人ががんになったので、もっと手厚いのにしたいと保険を見直し、新たにがん特約付きの医療保険に加入したばかりだったんです。まさか、加入した途端、乳がんになるなんて!

黒田:がん保険や医療保険のがん特約には、90日の待ち期間がありますものね。それは、くやしい!

附田:問題は、乳房再建の費用です。健康保険が適用されるとはいえ、自己負担額は結構大きいですよね。今はエキスパンダーを挿入しているのですが、もうすぐ自家組織で再建する予定なんです。うまくふくらまなかったら、脂肪注入をプラスしたいのですが、そうなるとさらに負担額が加算されます。乳頭・乳輪の再建もあるし、乳輪をタトゥーで着色するとなると、健康保険の適用外になります。ほんと、いろいろかかりますね(と、ため息をつく)。

黒田:乳がんって、悪いところをとって終わりじゃない。その後の乳房再建だって、こだわりたいですよね。私は、インプラント法による乳房再建だったのですが、当時は健康保険適用外で150万円以上かかりました。今はインプラントも健康保険が適用されますが、それでも自己負担額は大きいですよね。

医療費以外にも、予想外の出費が!


内田:私の場合、両親が、私名義のがん特約付きの医療保険を契約してくれていたんです。だから、入院費や治療費は、その保険でなんとかカバーできました。ただ、その後の通院費、ホルモン治療費、診断費等が、予想以上にかかって……。全摘出手術の半年後に、インプラントによる乳房再建もしたのですが、それも結構かかりました。なんとか預金から捻出しました。

一関:私は、20歳のときに悪性リンパ腫になっているので、医療保険には加入できないんです。すべての費用は、夫が預金から出してくれました。

黒田:ほんとうに、いいご主人ですね。医療費以外でかかったものは何でしょうか?

桜林:いっぱいあります! 交通費、ウィッグ代、メイク用品代、下着代……。その間働けなかったので、生活費も。あと、公立の保育園に入れることができなかったので、幼稚園代もかかりました。

黒田:え? シングルマザーなのに、公立の保育園に入れないの?

桜林:当時の状況では、公立保育園は会社に勤めていて、育児休業中のお母さん優先だったんです。

黒田:……。それは厳しいですね。

附田:私も、こまごまかかったけど、想定外だったのは、お見舞いのお返し。お見舞いはうれしいんですけどね。

黒田:わかります! 私も最初の入院のとき親戚に知らせたら、まさに一族郎党やって来て、大変でした。がんって聞いて、「尚子が死んじゃう!」って思ったみたい(笑)。今や、がんは完治できる病気なのにね。次の入院から、親戚には内緒にしました。

しっかりとした保障がほしい。


附田:来月の再建手術のときは、傷病休暇をとるのですが、その間は収入が3分の2になります。シングルなので、それがちょっと不安です。家賃も、入院の個室代も払わなきゃいけないし……。

黒田:がんになると支出が増えるだけでなく、収入も減ってしまいます。治療にかかるお金ばかりに気を取られてしまいますが、そうしたことも考えていかなければなりません。やっぱり病気ってお金かかりますよね。一関さんは、保険に加入できなくても、優しいご主人がいて幸せですね。

一関:必要なものは、だいたい夫が買ってくれました。ネットで見て、これほしいなぁとお願いするんです。

一同:いいなぁ~。

一関:でも……4年前から始めた、不妊治療の費用が結構かかっていて。乳がんとわかってから不妊治療はお休みしているのですが、ずっと受精卵を凍結保存しています。乳がんの治療が終わったら、また不妊治療を再開する予定です。


黒田:なるほど。乳がん治療後、不妊治療をいつから再開できるか、医師とよく相談する必要がありますね。一関さんは、その他に予想外な出費はありました?

一関:洋服です。乳がんになる前は、デコルテや胸元が開いた服が好きだったのですが、全摘手術後は着られなくなっちゃった。パッドを入れても、不自然になるんですよね。こうかがむと、見えちゃうし……。だから、胸元が見えないトップスやワンピースを買いました。

黒田:あら、ご主人に買ってもらったんでしょ?

一関:はい!

一同:いいなぁ~。

黒田:一関さんみたいに頼もしいご主人がいる人はいいけど、そんな患者さんばかりではないですからね。やはり、しっかりとした経済的備えが必要ですよね。私も、乳がんを経験したファイナンシャルプランナーとして、がんとお金の正しい情報を伝えていかなければと、実感しました。みなさん、今日はほんとうにありがとうございました!


がんになると、本当にお金がかかる。彼女たち、全員がため息まじりにそう言っていたのが、深く印象に残りました。日本女性の11人に1人がかかる乳がん。万が一に備えて、公的医療保険はもちろん、個々の状況に応じた、しっかりとした保障が求められます。

全5回の乳がん経験者座談会、いかがでしたか? つらいこと、大変なことを乗り越えながら、笑顔で本音を語ってくれた女性たちに、リンククロス ピンク編集部も勇気づけられました。彼女たちの言葉が、どうかみなさんの参考になりますように。


取材協力:一般社団法人ピアリング

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