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DATE : 2018.11.08

再検査の通知がきても、乳がんとは限りません。精密検査について正しく知ろう

乳がん検診のあと「要精密検査」という結果が届くと、もしかしたら自分は乳がんなのかもしれない……と不安に感じますよね。怖いから精密検査をしたくないと思うかもしれませんが、不安な気持ちを長引かせたり、もし病気の場合は治療が遅れたりすることのないよう、できるだけ早く必要な検査を受けましょう。ここでは、乳がん検診の検査結果はどのように診断されているのかに加え、精密検査の種類について、医師監修のもとご説明します。

監修:むらさき乳腺クリニック五反田 院長 池田紫先生 

乳がん検診で「要精密検査」になる基準とは?

医療機関から届く乳がん検診の結果には「異常なし」「要経過観察」「要精密検査」のいずれかが書かれています。このうち「要精密検査」というのは、「乳がん検診の結果だけでは判断がつかないので、もう少し詳しい検査をする必要があります」というお知らせです。

乳がん検診の際にどんな検査を受けたかにもよりますが、一般的には、問診・視触診・エコー(超音波)・マンモグラフィ検査の結果を総合して診断結果が出されます。

ここでは、マンモグラフィ検査での診断基準についてお伝えしましょう。

マンモグラフィ検査によって「要精密検査」となる基準

マンモグラフィによる検査結果は、以下のように分類されます。



X線による画像診断であるマンモグラフィには、乳がんのみではなく、明らかに良性で治療の必要がないものや、良性と悪性の区別が難しいものも写し出されます。
画像になんらかの形が写っているものの、良性で治療の必要なしと判断された場合がカテゴリー2です。一方、良性と悪性の区別が難しい場合はカテゴリー3以上に分類され、「要精密検査」の通知が届くことになります。

「要精密検査=乳がん」ではない

厚生労働省の「平成27年度地域保健・健康増進事業報告」によると、平成26年度に乳がん検診を受けた方は218万2748人。受診者のうち、8.38%(18万2909人)の方が要精密検査となり、要精密検査者の4.05%(7416人)の方から乳がんが発見されました。 この数字から分かるように、乳がん検診の結果で「要精密検査」という結果が届く=乳がん、ということではありません。もしも乳がんだったとしても早い段階で発見できれば90%が治るといわれているので、必ず再検査を受けるようにしましょう。 

乳がん検診の精密検査、内容や費用は?

精密検査では、マンモグラフィ検査や乳腺超音波検査で見つかった異変がどのような状態なのか、治療は必要なのかどうかについて、詳しく調べていきます。大きく分けて「細胞診」と「組織診(生検)」の2種類があり、乳房から細胞や組織を採取し顕微鏡で確認します。


「細胞診」とは


「細胞診」とは、乳房から細胞をとり、その細胞を染色して顕微鏡で観察する検査です。細胞診には針を使う「穿刺(せんし)吸引細胞診」と、針を使わない「乳頭からの分泌物の細胞診」があります。費用の目安は、3,000~4,000円(※保険診療3割負担の場合)くらいです。

-穿刺(せんし)吸引細胞診

病変部に直接細い針を刺して、注射器で吸い出した細胞を顕微鏡で観察します。針を刺した部分に血のかたまりができることがありますが、重大な合併症はほとんど起こりません。体への負担が少ない検査法です。

-乳頭からの分泌物の細胞診

乳頭(乳首)からの分泌物がある場合には、それを採取して検査します。

「組織診(生検)」とは


「組織診」では、組織(たくさんの細胞のかたまり)をとって検査します。細胞診よりも広範囲の組織を調べることで、より精度が高い診断が可能です。組織診には「針生検」と「外科的生検」があり、費用の目安は6,500~7,000円です。(※保険診療3割負担の場合。麻酔の種類などにより費用は変わります。)

-針生検

穿刺(せんし)吸引細胞診で使うよりもひと回り太い針を使用し、局所麻酔をしたうえで病変部の組織をとる方法。使用する機械の種類によって、コア針生検と、吸引式乳房組織生検に分かれます。

コア針生検は機械のバネによって組織を切り取る方法で、1度の検査で1カ所の組織を採取します。
一方、吸引式乳房組織生検は機械の吸引力を利用して組織を切り取る方法で、使用する機械によりますが、1度の検査で複数個所の組織を採取可能です。
費用の目安は5,000~7,000円(※保険診療3割負担の場合)です。吸引式針生検は保険適用で約20,000円(※保険診療3割負担の場合)、摘出生検は手術となるため、さらに費用がかかります。

-外科的生検

針生検を行っても診断が難しい場合に、小さな手術によってより多くの組織を切り取り、検査を行います。
これらの検査を経て乳がんであると診断された場合は、治療方針を決めるため、さらに詳しくMRIやCTなどによる画像診断を受けることになります。画像診断では、乳がんの広がり具合、乳がんの性質、リンパ節への転移の有無などを確認します。 

再検査の結果、「経過観察」といわれたらどうするべき?

乳がん検診では「要経過観察」という結果が出ることがあります。もしくは、精密検査を行い、その結果が「要経過観察」になるケースもあります。

要経過観察というのは、「良性の病変が存在していると考えられるが、経過観察が必要である」場合に出る結果です。一般的には、3~6カ月後に再受診するよう指示を受けると思いますが、不安や疑問を感じるときには、その期間を待たず担当の医師に相談しましょう。診断結果について詳しく説明を受けることで、漠然とした不安やストレスを解消できます。

そして、必ず医師から指示を受けたタイミングで再受診してください。良性だから大丈夫と長期間放置すると、病気の発見が遅れることになりかねません。

乳がんは早期発見・早期治療をすれば、治りやすい病気です。再検査を先のばしにすると不安な気持ちを抱え続けることになるだけでなく、乳がんの発見が遅れるというリスクも高まります。不安や心配ごとも含めて、できるだけ早く医師に相談しましょう。

PROFILE

【監修】池田紫先生MURASAKI IKEDA

むらさき乳腺クリニック五反田 院長
日本医科大学卒業後、昭和大学病院にて研鑽を積み、ブレストセンター設立にも携わる。2011年にはシンガポールに留学し、ホルモン剤や分子標的治療薬が効かない乳がんの病理特徴についての研究に従事。
2018年、むらさき乳腺クリニック五反田を開院。
昭和大学病院、およびその他の大学病院やがん専門病院、総合病院と連携し、納得のいく治療が受けられるトータルサポートをしている。
https://www.murasakibreastclinic.com/

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