HEALTHCARE : 健康
DATE : 2018.10.10
胸の筋肉はどうしてつるの?痛くなったときの対処&予防法
胸の筋肉がつって、鋭い痛みを感じる……そんな経験をしたことはありませんか?筋肉がつるのには、いくつかの原因があります。言いかえれば、その原因を取り除いてあげれば、不快な痛みを感じる確率はぐっと抑えられるのです。
ここでは医師監修のもと、胸の筋肉がつる原因やその対処法をご紹介。正しい知識を得て、痛みとさよならしましょう!
胸の筋肉がつるのはどんなとき?
筋肉がつる原因としては、おもに以下の3つがあげられます。
筋肉が疲労したとき
筋肉を酷使したときや、いつもは使わないのに急に動かしたときは、筋肉がつりやすい状態になります。例えば、重いものを抱えて運んだり、腕立て伏せなどの筋力トレーニングを始めたりといった場合です。急に負担がかかることで、筋肉をスムーズに伸び縮みさせられなくなるために起こります。こうした筋肉疲労を避けるためには、急に無理な運動をしないことが重要。筋力トレーニングを始めるときは、最初からハードな内容に取り組むのではなく、少しずつレベルを上げるようにしましょう。
長時間悪い姿勢で過ごしたとき
猫背で肩が体の内側に丸まってしまうと、肩と胸とをつなぐ小胸筋が縮まった状態になります。この姿勢が長時間続くと、小胸筋は血行不良になり、疲労が蓄積していくのです。すると、筋肉のつりが起こりやすくなります。
姿勢は体にしみついてしまうものなので、意識するだけではなかなか改善するのは難しいでしょう。毎日正しい姿勢を維持するための上半身の筋力トレーニングをしたり、気づいたときに姿勢を正したりするように心がけてみましょう。正しい姿勢を維持できるようサポートしてくれるベルトやコルセットなどは、筋肉をさぼらせてしまうため、かえって逆効果です。
ミネラルが不足しているとき
筋肉を動かすときに必要な栄養素の一つが、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど)。これが不足すると、筋肉の伸縮をうまくコントロールできなくなり、つりやすくなるといわれています。ミネラルは体内でつくることができない栄養素なので、食事やサプリメントで意識的に補うようにしましょう。
胸がつる痛みの特徴
・呼吸をすると痛みを感じる
・胸の表面が痛む
・急に痛くなって短時間で治まる
突然胸に鋭い痛みを感じ、手で触って筋肉が硬直していたら、つっていると考えて間違いないでしょう。
しかし、上記の特徴とは異なる痛みを感じる場合は注意が必要。なぜなら胸の痛みは、病気のサインである可能性も高いからです。
例えば、狭心症や動脈硬化などの心臓系の病気になると、胸に痛みが走ることがあります。具体的には、胸を圧迫されるような痛みや締めつけられるような痛み、中には胸の奥がひりひりと熱くなるような痛みを感じるケースが多く見られます。また、胸と一緒にみぞおちや背中が痛むことも。このような場合は、すみやかに病院で治療を受けてください。
さらに、女性ホルモンの影響を受けて乳腺の状態に変化が生じたときも、胸に痛みを感じます(一般的には“乳腺症”と呼ばれます)。胸の中央から上の外側にかけて痛みを感じ、多くの場合胸が張ることなどが特徴です。乳腺症は治療が必要な病気ではありませんが、痛みがひどい場合は薬を処方してもらうこともできるので、一度病院にかかってみるといいでしょう。
安易に「胸の痛み=筋肉のつり」と考えるのではなく、痛む場所や痛みの感じ方などを意識してチェックするようにしましょう。
胸の筋肉のつり予防と対策法
胸の筋肉のつりを予防するには
筋肉のつりを予防するためには、ストレッチを習慣化することがおすすめです。ストレッチといってもとても簡単で、ストレッチポール(バスタオルを数枚重ねて丸めたものでも代用可能)の上に仰向けに寝て、手を左右に広げて脱力するだけでOK。肩と胸を大きく開けるので、特に姿勢が悪い方にはおすすめです。ストレッチを行うタイミングは、お風呂上がりの体が温まっているときがベスト。寝ている間に筋肉がつってしまう方は、就寝前にも軽くストレッチをするといいでしょう。
また先述のとおり、筋肉のつりはミネラル不足によっても起こるため、バランスのとれた食生活を心がけることも効果的な予防法です。そのほか、体が冷えないように気をつけたり、肩が丸まらないよう正しい姿勢をキープしたりするようにしてください。
胸の筋肉がつったときの対策
胸の筋肉がつってしまったとき、つまり筋肉が収縮してしまったときは、ストレッチを行って伸ばしてあげると症状を改善できます。まず、右胸がつったときは右腕を、左胸がつったときは左腕を肩の高さまで上げ、肘を90度に曲げます。そして、肘から先を柱や壁(曲がり角を利用)につけましょう。その状態で、上げている腕とは反対の方向に、体をゆっくりと開けば、胸の筋肉を伸ばせます。そのまま20秒ほど体制をキープしてください。
また、つった部分に温めたタオルを当てて、マッサージするのも効果的。力をかけすぎると痛みが増すので、優しくほぐすようにしましょう。
筋肉のつりによる痛みは基本的に短時間で治まりますが、「少し我慢すれば治るから」と無視せず、姿勢を改善したり食生活を見直したりして、体への負担を和らげてあげてください。そして、筋肉のつりとは違う痛みを感じたときは、すぐに病院へ。体からのSOSサインを見逃さないよう、変化に意識的になるようにしましょう。
PROFILE
【監修】清水なほみ先生NAHOMI SHIMIZU
全ての女性が「自分らしい輝きを取り戻す」場として、横浜に婦人科クリニックを開業。婦人科医としての診療のみにとどまらず、漢方やキネシオロジーなどの代替医療も総合的に活用しながら診療にあたる。また、トランスフォーメーショナルコーチ®のテクニックをフルに活用し、ブログでの情報発信やワークショップ、診療内のカウンセリング等で「本来の自分の姿に戻ることで健康を取り戻す」医療を展開している。
https://www.vivalita.com/