HEALTHCARE : 健康
DATE : 2018.10.10
胸が垂れるのはどうして?垂れてしまった胸を戻すことってできるの?
トップがツンと上を向いた若々しい胸は、女性なら誰もが憧れるもの。しかし実際には、加齢によるホルモンバランスの変化や、体に合わないブラジャーの着用などが原因で、胸はだんだんと垂れ下がってしまうものです。
そこで今回は、胸が垂れる原因とそれを防ぐ方法を医師監修のもとご紹介します。美しい胸をキープしたい方、必見です!
胸が垂れてしまう原因は?
胸を構成する組織の一つに乳腺がありますが、これはエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの影響を受けて発達します。しかし、エストロゲンの分泌量は加齢に伴って少しずつに減少、それに比例して乳腺も萎縮していきます。すると、胸の大部分を脂肪が占めることになるのです。脂肪は筋肉とは違ってやわらかく、それ単体では形を維持することができません。つまり、乳腺が萎縮して脂肪の割合が大きくなった胸は、重力に負けて垂れ下がってくるのです。
しかし、胸が垂れる原因は、加齢に伴うホルモンバランスの変化だけではありません。加齢から逃れることはできませんが、その他の原因にアプローチすることで、胸が垂れるスピードを遅らせることはできるでしょう。
そこでまずは、加齢以外の胸が垂れる原因について見ていきましょう。
【胸が垂れる原因1】出産などで胸の大きさが急変する
短期間で体重が大幅に増え、胸の大きさが急に大きくなると、皮膚と胸を支える(乳腺や脂肪を大胸筋とつなぐ)クーパー靭帯が伸びて胸が下垂してしまいます。逆に、無理なダイエットで急激に脂肪が減った場合も、皮膚やクーパー靭帯が伸びることはないものの、胸の“中身(脂肪)”が減ることで、同じような状態になるのです。出産後に胸が垂れたと感じるのもこのため。胸のサイズ変化が大きい方ほど、下垂のリスクは高くなります。【胸が垂れる原因2】クーパー靭帯が伸びてしまう
先に胸が急激に大きくなることでクーパー靭帯が伸びるとご紹介しましたが、胸をホールドせずに激しい運動を続けた場合も、同様に伸びてしまう可能性があります。クーパー靭帯は強い組織なので、少々の揺れで伸びることはありませんが、胸が大きく揺れるハードなスポーツ・トレーニングを習慣的に行っている方は、胸をしっかり支えてくれる下着を選んで対策しておくと安心です。【胸が垂れる原因3】猫背で肩が丸まっている
猫背で肩が体の内側に丸まってしまうと、胸の筋肉につながる血管が圧迫され、血液が十分に届かなくなります。また、猫背の状態が続くと、胸の筋肉が弛緩する、つまりしっかり機能していない状態になるため、筋力も失われていきます。すると、だんだんと胸全体のハリが失われ、下垂していくのです。【胸が垂れる原因4】合わないブラジャーを着けている
ぴったり合ったサイズのブラジャーを選べていないことも、胸が垂れる原因になります。適正サイズよりも小さい場合は、ブラジャーが胸を圧迫し、皮膚や内部の組織を傷めてしまいます。血行不良の原因にもなるでしょう。逆に大きい場合は、胸とブラジャーとの間にすき間ができてしまい、しっかりホールドできません。すると、クーパー靭帯に負担をかけることにつながります。
【胸が垂れる原因5】皮膚にやわらかさやハリがなくなる
胸全体を覆う皮膚にやわらかさやハリがなくなると、胸を支える力が弱くなり、下垂の原因になります。特に湿度が低い季節や、乾燥肌の方、加齢とともに肌のハリが失われてきたと感じる方は、しっかりと保湿をするよう心がけてください。盛るべきはそこじゃなかった?胸が垂れていく過程
胸が垂れる原因を押さえたところで、次は胸がどのような過程を経て垂れていくかを見ていきましょう。胸が垂れる最初の一歩は、デコルテの膨らみがなくなることです。胸上部の脂肪が下垂し、いわゆるお椀型ではなくなるのです。そうして次に、乳首が下を向くようになります。最終的には胸全体の位置が下がり、脂肪が外側に流れて、垂れていってしまいます。
つまり、胸の下垂を感じるようになったら、ブラジャーの下部にパットを入れるのではなく、胸全体を覆ってくれる形を選んで脂肪を上に引き上げるのが正解です。形を整えてあげれば、“かさ増し”をしなくても、若々しい胸が手に入りますよ。
改善策はある?垂れた胸を元に戻す方法
巷ではマッサージや筋力トレーニング、食事の改善、胸の形を変えるブラジャーを着用するなどの方法がいいとされていますが、医学的に見ると、いずれも根拠に欠けたり、効果を実感できるほどの結果に至らなかったりするものばかりです。どうしても胸の下垂を改善したい場合は、美容整形などの医療的措置を受けることを考えなくてはなりません。
ただし、胸の下垂を予防し、今の胸の形をなるべく長くキープする方法ならあります。
胸が垂れるのを予防するには
まずは、自分の胸に合ったサイズのブラジャーを選ぶこと。ブラジャーを着けていて以下のような状態になる場合は、サイズが合っていない証拠です。
・カップと胸の間にすき間がある
・肩紐がずり落ちてくる
・だんだんブラジャーがずり上がってくる
・わきの肉がブラジャーの外にはみ出ている
・動くと胸が揺れる
なお、よく「ノンワイヤーのブラジャーは胸が垂れやすくなる」と言われますが、上記のような状態にならなければ形態は関係ありません。
また、きちんと体に合ったブラジャーを選べていても、朝着用してから一日中そのままでは、だんだんと位置がずれてしまうものです。トイレに立った際などに胸をカップにきちんと入れ直す習慣をつけると、より美しい形をキープできるようになります。
上記に加えて、急激な体型変化をしないような生活を送ることや正しい姿勢を心がけること、胸の保湿ケアを実践すれば、胸が垂れるのをある程度遅らせることができるでしょう。
産後、卒乳後の胸の垂れを防ぐには
出産後の胸の垂れを防ぐには、2つのポイントがあります。1つめは、こまめに授乳して、なるべく胸が張らないようにすることです。これにより、皮膚が伸びるのを最小限に抑えることができます。しかし実際の授乳感覚は、赤ちゃんの母乳の飲み具合や月齢によって異なるので、コントロールが難しい場合もあります。あまりにも母乳の出がよすぎて張りすぎてしまう場合は、強い張りになる前に、圧抜き程度に搾乳してもいいでしょう。そしてもう1つは、胸が大きくなったと感じたら都度サイズを測り直し、ブラジャーを買い換えること。妊娠中から授乳期にかけては、胸のサイズが大きく変化するものです。人によっては、妊娠中にも胸が大きくなったのに、産後さらにサイズアップすることも。胸が垂れるのを予防するためには、「もったいない」などと我慢せずに、体型の変化に合わせてぴったりのブラジャーを選ぶことが必要です。
胸が垂れないようにするのではなく、その変化のスピードをなるべく緩やかにする……これが、バストケアの正しい考え方といえるでしょう。「昔よりも垂れてしまったから私の胸はもうダメ」などと考えず、いつでも“今の自分の胸”としっかり向き合い、できる限りのケアをしてあげてくださいね。
PROFILE
【監修】清水なほみ先生NAHOMI SHIMIZU
全ての女性が「自分らしい輝きを取り戻す」場として、横浜に婦人科クリニックを開業。婦人科医としての診療のみにとどまらず、漢方やキネシオロジーなどの代替医療も総合的に活用しながら診療にあたる。また、トランスフォーメーショナルコーチ®のテクニックをフルに活用し、ブログでの情報発信やワークショップ、診療内のカウンセリング等で「本来の自分の姿に戻ることで健康を取り戻す」医療を展開している。
https://www.vivalita.com/