HEALTHCARE : 健康
DATE : 2018.10.15
胸にぶつぶつができるのはなぜ……ぶつぶつの治し方と予防法とは
胸にぶつぶつができてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。ポイントは、原因に合わせた早めのケア。そのためには、なぜぶつぶつができたのかを見極めることが大切です。突然胸にぶつぶつができてもきちんと対処できるよう、皮膚科医監修のもと考えられる原因や治し方、予防法についてご紹介します。
胸にぶつぶつができる原因は何?
胸にできるぶつぶつのなかには、早めに病院で治療しなければならないものもあります。考えられるぶつぶつの主な原因は、次のとおりです。
胸ニキビ
胸のぶつぶつで多い症状のひとつがニキビです。ニキビは顔だけでなく、背中や胸にもできることがあります。思春期に多いニキビは、角質や過剰に分泌された皮脂が毛穴をふさぎ、毛穴の中(毛包の中)でアクネ菌が皮脂を栄養源として増殖することで発生します。毛穴がふさがることは、酸素を嫌うアクネ菌にとって好都合なのです。
ところが、胸にできるニキビはそれだけが要因ではありません。皮脂以外にも、生活リズムの乱れや睡眠不足、ストレス、疲労などの生活習慣もニキビの発生に影響すると考えられています。
また、紫外線にさらされたり、肌が乾燥してバリア機能が弱まったりすることでも、胸ニキビはできやすくなります。
湿疹
皮膚炎とも呼ばれるもので、盛り上がったぶつぶつや赤み、かゆみ、カサつきなどの症状が現れます。花粉やハウスダスト、金属など外からの刺激に対するアレルギー反応であったり、寝不足であったり、稀ですが服用した薬の影響であったりと、さまざまな要因で起こります。マラセチア毛包炎
マラセチアという皮膚にもともといる菌(常在菌)によって起こるもので、春から夏にかけて多く発症します。2~3ミリくらいの大きさのぶつぶつができ、小さな水ぶくれを伴うケースもみられます。表面にツヤがあり、赤みが強く、発疹の大きさが比較的そろっていて、密集して発生することもあります。見た目はニキビとよく似ていて、見分けることが難しい場合もありますが、皮膚科でぶつぶつの中にある菌を調べることで診断がつきます。ニキビとは治療法が異なるので注意が必要です。
アクロコルドン・スキンタッグ
加齢変化や摩擦によりできることがある、1〜3ミリくらいの肌色〜薄茶色のできものです。少し盛り上がる程度のアクロコルドン、さらに盛り上がったスキンタッグなど、形によって呼び方はさまざまですが、どちらもそれ自体に痛みはありません。なんらかの刺激で炎症を起こすと、ときにかゆみや軽い痛みを感じることもあります。汗管腫(かんかんしゅ)
1~3ミリくらいの大きさをした汗腺系のできものです。肌色~黄褐色で、女性の下まぶたに多く、胸やワキの下などの体幹にできることもあります。そのままにしていてもとくに問題はありませんが、自然に治ることはほとんどないため、美容の面で気になるときは皮膚科に相談してみるとよいでしょう。胸のぶつぶつを治したい!
胸のぶつぶつが治らないのはなぜ?
顔にぶつぶつができた場合は、自分やまわりの人の目につきやすいため、早い段階でケアできることが多いでしょう。ところが、胸のあたりは多くの場合服に隠れていて見落とされがち。かゆみなどの症状が出てはじめて気がつくケースも少なくありません。対処の遅れによって症状が長引くことも、十分考えられます。
-ニキビの場合
思春期のニキビであれば、ある程度の時期を過ぎるとだんだんホルモンのバランスが整ってきて皮脂の過剰な分泌がおさまるため、ニキビの発生も落ち着いてきます。一方、胸のニキビなど、大人になってからもできるニキビは生活習慣が関係することも多いため、なかなか治りにくく、一度治ってもまたできる可能性が高くなります。悪化させてしまうと、ニキビが治ったあとに色素沈着などの皮膚トラブルが残ることもあります。-ニキビ以外の場合
ニキビ以外のぶつぶつでは、体質も大きく関係しています。アレルギー反応を起こしやすかったり、肌が敏感でトラブルを招きやすかったりと、もともとの体質が影響していると、治ったとしても再発するケースが少なくありません。適切なケアとあわせて、普段の生活を通してしっかり予防していくことも大切です。
胸のぶつぶつを治すために
胸のぶつぶつには、原因別に対処する必要があります。-ニキビの場合
ぶつぶつの正体がニキビであれば、しっかり泡立てた洗浄剤でやさしく洗い、毛穴がふさがった状態を避け、十分な保湿で肌のバリア機能の低下を防ぎます。スキンケアでは、ニキビができやすい成分を含まない「ノンコメドジェニック化粧品」を使用するとよいでしょう。あわせて、ライフスタイルの見直しを図りながら、ニキビの悪化をおさえます。
なかなか症状がおさまらない場合は、色素沈着などのニキビあとが残ってしまう可能性もあるため、病院で治療を受けることをおすすめします。以前は抗生剤がニキビ治療の中心でしたが、2008年頃からアダパレンなどの外用薬が導入されてきて、治療の選択肢が広がっています。ぜひ、医師に相談してみてください。
-ニキビの治療をしても治らない場合
ニキビの治療を続けても治らない場合は、マラセチア毛包炎の可能性が高く、自己処置では治らないため、早めの受診をおすすめします。皮膚科の検査で発疹からマラセチアが見つかれば、抗真菌薬の外用を開始します。症状が長引いたり、広範囲に広がっていたりする場合は、抗真菌薬を内服することもあります。-外からの刺激が原因の場合
湿疹のように外からの刺激によってぶつぶつができている場合は、まずは要因となる物質を取り除かなければなりません。肌に付着しているならやさしく洗い落として保湿ケアを、下着など身につけているものが要因なら、綿やシルクなど刺激をおさえられる素材のものに変えて悪化を防ぎましょう。こうした湿疹の治療には、主にステロイド外用薬が用いられます。アクロコルドンやスキンタッグがある人は、ナイロンタオルのような硬いもので皮膚をこすると悪化させてしまうことがあるので要注意。100個、200個と増えてしまう場合もあり、数が少ないうちに対処することをおすすめします。治療法には、液体窒素で凍らせて取るほか、医療用のハサミで切除したり、炭酸ガスレーザーで削ったりするなどの方法があります(一部保険診療対象外)。
-免疫力が低下して発症している場合
残業続きで疲れている、毎日の睡眠時間が短い、引っ越しなど体力を消耗するようなイベントがあった、風邪を引きやすくなったなど、免疫力が落ちるような状況が続くと、皮膚のバリア機能が弱まって、湿疹やニキビなどのトラブルを起こしやすくなります。この場合は、原因となる習慣を改善することで、さらなる発症や悪化を防ぐことが大切です。胸のぶつぶつの予防法はある?
まず考えたいのが、ぶつぶつの原因になっているものを取り除くこと。そして、生活習慣の見直しです。健やかな肌は毎日の生活のなかで育まれることを念頭に置き、皮膚トラブルを起こす要因がないかチェックしてみましょう。不規則な生活や乱れた食生活、寝不足などは肌だけでなく心身に悪影響を与えます。朝寝坊や夜ふかしの習慣があれば、毎日決まった時間に寝起きできるよう心がけましょう。朝起きたら太陽の光を浴びて朝ごはんを食べることで、体内時計を上手にリセットできます。
胸のぶつぶつのなかには、免疫力の低下が影響するものもあります。免疫力の低下を防ぐうえでも、生活習慣の見直しはとても役立ちます。あわせて、適度な運動を取り入れて、栄養バランスのよい食事を食べることで、トラブルを起こしにくい肌を保ちたいですね。
胸のぶつぶつがひどくなると、ぶつぶつ以外の症状が出てきたり、あとが残ったりする可能性もあります。なにより、胸にぶつぶつがあること自体がストレスになってしまうこともあるでしょう。症状が長引くようであれば、早めに病院を受診して治療を受けてください。
PROFILE
【監修】堀内祐紀先生YUUKI HORIUCHI
東京女子医科大学医学部医学科卒業。都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本脱毛医学会理事。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本肥満学会、日本抗加齢医学会などに所属する。ピラティススタジオ&A(https://www.akihabara-skin.com/studio-and-a/)主催。
https://www.akihabara-skin.com/