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DATE : 2020.10.20

更年期障害とは?その症状や原因から治療方法まで解説

急に体温が上がる、なんとなく不安になるなどの症状がよく聞かれる「更年期障害」。いつ頃からどんな症状が出るのか、どういう対策をすればいいのか気になる方もいるのではないでしょうか。更年期障害になった時に驚いたり慌てたりしないよう、事前にどんな症状があらわれるのか、治療方法があるのかなどを知っておきたいですよね。この記事では医師監修のもと、更年期の概要や更年期障害の原因、症状や治療方法などについて具体的に解説します。

更年期とは何歳から? どうして更年期障害があらわれるの?



まず、更年期とはどの時期を指すのでしょうか。症状やその原因などについて見ていきましょう。

更年期とは、閉経前後の45歳~55歳あたりの期間を指します。女性には大きく分けて4つのライフステージがありますが、更年期はその3つ目のライフステージです。
【女性の4つのライフステージ】
1:思春期……月経を迎える頃
2:成熟期……月経があり妊娠・出産できる期間
3:更年期……月経が終わる頃
4:高齢期……閉経後の期間

更年期になると、月経が終わることに伴い卵巣の動きが衰えてきます。その結果、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減ることで、体や心にさまざまな不調が現れてくるのです。これを更年期症状といいます。

更年期症状は誰にでも起こることですが、その程度には個人差があります。中には仕事や家事ができないほど辛い症状を抱える方もいます。このように更年期症状が重く、仕事や家事に支障が出る状態が続く場合を「更年期障害」と呼ぶのです。

更年期障害の原因

更年期障害は、ホルモンのバランスが崩れることで起こります。閉経に伴って女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減ることです。エストロゲンは、月経・妊娠をはじめとした女性ならではの機能はもちろん、乳房や性器、さまざまな臓器の成長や、肌や髪の艶の保持など女性の体を作るためのたくさんの役割を持っています。

そのたくさんの役割を持ったエストロゲンが急激に減ることで、これまでエストロゲンが果たしてきた役割がうまく果たされなくなり、身体に不調が出てくるのです。またエストロゲンが減ると、脳は「エストロゲンを増やせ」と卵巣に指示を出しますが、更年期に入ると卵巣は動きが衰えるため、その指示を守れません。すると脳が混乱して自律神経も乱れてしまうので、心にも不調が現れるようになります。

エストロゲンがどれくらい減ったかは、病院でも検査してもらうことができます。「女性ホルモン検査」といった名前の血液検査で調べる方法等があるので、気になる方はかかりつけの婦人科に問い合わせてみましょう。
 

更年期障害の主な症状にはどんなものがあるのか



では、更年期障害になると具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。症状の種類や程度には個人差がありますが、ここでは一般的に表れやすい症状をご紹介します。

症状

・精神神経系の症状

精神神経系の症状として、頭痛やめまい、不眠や不安感に襲われることがあります。更年期障害の頭痛には、頭の片側だけが痛む片頭痛と、頭全体が締め付けられるように痛む緊張型頭痛の2種類があります。めまいは身体がふらふらしたり、まっすぐ歩けなかったり、天井がぐるぐる回っているように感じたりすることも。不眠は寝つきが悪い・何度も目が覚める・早く目が覚めるなどの症状があります。自律神経のバランスが崩れることから、心が落ち着かない、孤独を感じる、落ち込むなどの不安感も現れることがあります。

・血管運動神経系の症状

血管運動神経系の症状としては、ホットフラッシュ・動悸・息切れ・むくみなどが現れる場合があります。ホットフラッシュとは急なほてりやのぼせのことで、脈拍が上がったり汗が止まらなかったりすることがあります。激しい運動をしていないのに突然胸がどきどきしたり、歩いただけで息が切れたりする動悸・息切れも症状のひとつです。またむくみやすくなるため、これまで使っていた靴や指輪が入らなくなることもあります。

・運動器官系の症状

運動器官系の症状として、肩こり・関節痛・しびれなどが現れることがあります。以前より肩が重く、筋肉が固まっている感じがすることも。関節痛としては、階段の上り下りがつらくなったり、関節の痛みが引かなくなったりすることがあります。血の巡りが悪くなることで、手足がしびれを感じるのも症状のひとつです。

更年期にはこのようにさまざまな症状があらわれます。中には重篤な病気の症状によく似たものもありますので、症状が気になる時は自己判断せず病院に行くことをおすすめします。
 

更年期障害の治療方法にはどのようなものがあるの?



さまざまな症状が出る更年期障害。その治療方法について以下で見ていきましょう。

治療方法

・ホルモン補充療法(HRT)

エストロゲンの減少を補うために、エストロゲンを少しずつ投与する方法です。飲み薬や貼り薬、塗り薬などのさまざまな方法があり、子宮内膜増殖症のリスクを上げないために黄体ホルモンを一緒に投与します。血管運動神経系の症状であるホットフラッシュやほてり、のぼせなどに特に効果があります。

・漢方薬

生薬(しょうやく)を組み合わせて作った漢方薬は、体と心のバランスの乱れを回復させるために用いられます。「婦人科三大処方」と呼ばれる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)を中心に症状に合わせて処方され、主にそれぞれ冷え性や疲れやすさ、のぼせなどに効果があります。

・向精神薬

不安感やイライラなどの精神神経系の症状には、抗うつ薬・抗不安薬などの向精神薬を使うことがあります。最近の抗うつ薬は副作用も少なく、ほてりや発汗などの別症状にも効果があると言われています。

・サプリメント

症状の緩和が期待されているものとして、大豆に含まれている「イソフラボン」や、エストロゲンに似た効果のある「エクオール」のサプリがあります。イソフラボンは更年期症状の改善については効果が少ないとされているものの、心臓・血管・骨などにも良い影響があるといわれています。エクオールはほてりや肩こりなどの症状に効果があるとされており、他にはメタボリック・シンドロームや肌の老化にも効果があるといわれています。
 

まとめ



45歳~55歳頃に迎える更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減り、女性の体や心にさまざまな不調が現れます。仕事や生活に支障が出るほどの症状が出る場合は「更年期障害」と呼ばれ、頭痛やホットフラッシュ、肩こりや不安感などの症状が強く出ることも。とはいえ、現在ではホルモン補充療法や漢方薬、向精神薬での治療も行われています。「更年期障害かも?」と思ったら、一度婦人科で観てもらうことをおすすめします。

PROFILE

【監修】吉井友季子YUKIKO YOSHII

医療法人優美会理事長、吉井クリニック院長
大阪市立大学医学部卒業。H11年大阪府吹田市江坂で吉井クリニックを開院。内科、外科、婦人科疾患、健診や予防医療、美容医学に力を入れ成果をあげている。著書多数。健康・美容に関して雑誌、新聞でコメントを求められることも多い。
https://www.yoshiiclinic.jp/

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