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DATE : 2018.08.06

ストレス食べで胸焼け!?原因を知って不快な症状を解消

監修:医療法人優美会理事長、吉井クリニック院長 吉井友季子先生 

胸焼けとは、喉や胸に感じる灼熱感

ストレスでドカ食いしてしまった翌朝や、油っこいものを食べた数時間後などに感じる“胸焼け”。胸焼けとは、文字通り「胸のあたりが焼けるように感じる状態」です。

みぞおちから喉にかけて熱いような感じがしたり、ヒリつくような痛みがあったり、重苦しい不快感・圧迫感を感じるなどが主な症状です。他にも胃から酸っぱいものが上がってきたり、みぞおちのあたりに何かが詰まっているような感じがしたりすることもあります。
胸焼けは単独で起こる場合もありますが、同時に吐き気やゲップ、胃もたれ、下痢、胃痛などが起こる場合があります。

こうした症状は、胃酸が食道へ逆流したときに起こります。胃酸が逆流してしまう原因としては、何らかの理由で胃酸が増えすぎてしまう(胃酸過多)、胃が弱っている、胃酸が逆流する病気(逆流性食道炎)、食べてすぐに横になるなどの生活習慣、老化、肥満、妊娠などがあります。

胸焼けが起こるタイミングには、食後、空腹時、起床時があります。一般的には、消化の悪い食事をした後に起こります。食べたものを消化しようとして、胃酸の分泌が多くなり、それが食道のほうへ逆流するからです。

空腹時に起こる場合は、食べものを腸に送りだしてしまった後にも胃酸の分泌が続いていると考えられます。その場合は、普段から胃酸過多になっている可能性があります。 起床時の胸焼けは、生活習慣、特に食習慣と深く関わっています。寝る前に食べたり、夕食を多く取りすぎたりすると、朝に胸焼けを感じやすくなります。

胸焼けは健康な人でもちょっとした生活の乱れで起きることがあります。そのため、「ただの胸焼け」と思って放置されることがあります。けれども、胸焼けとよく似た症状の別の病気も存在します。大きな病気を見逃して、悪化させてしまうことがあってはいけません。

まずは胸焼けの原因を知り、セルフケアで改善を試みましょう。セルフケアだけでは症状がよくならないときや悪化する場合は、すみやかに病院へ行ってください。 

こんな生活が胸焼けを招く!NGな生活習慣とは?

では、まず胸焼けを起こす原因になる生活習慣や病気について整理していきます。

胃酸過多を招く生活習慣

  • 消化の悪い食事
  • 油っこいもの、味の濃いもの、辛いもの、甘すぎるもの、食物繊維の多いもの、冷たいもの、硬いものなどが、消化の悪い食事の代表です。

  • アルコールの飲み過ぎ
  • お酒に強い弱いは関係なく、たくさん飲めばそれだけ胃酸が多く分泌されることになります。一般に男性よりも女性のほうがアルコールの影響を受けやすいといわれています。

  • カフェインを含む食べもの・飲み物
  • コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、コーラ、栄養ドリンクなどに多く含まれます。一部のチューインガムのように、人工的にカフェインを添加した食品もあります。

  • 喫煙
  • タバコは百害あって一利なし。胸焼けに限らず、あらゆる病気のリスクを高めます。


    胃を弱らせる生活習慣

  • 冷たいものの摂りすぎ
  • 氷のたっぷり入ったジュース、キンキンに冷えたビールやチューハイ、アイスクリームなど冷たいからこそ喉越しよく、美味しく感じる食べものは多いですが、冷たいものは胃の血流を低下させ、働きを悪くします。

  • 不規則な食事
  • 食べたり食べなかったり、一気にドカ食いしたりなどの不規則な食事は、胃に負担をかけます。

  • 早食い
  • よく噛まずに飲み込むと、胃で消化を負担しなければならず、胃が疲れます。急いで食べると空気を一緒に飲み込んでしまうので、ゲップが多くなり、それと同時に胃酸の逆流もおこりやすくなります。

  • ストレス
  • 胃はストレスに敏感な臓器です。緊張や不安を感じると胃がギュッと縮まる感じがするのは、胃がストレスに反応しているのです。特に女性は食べることでストレスを発散する傾向があります。甘いものをドカ食いしたり、お酒をあおるように飲んだり…。また、生理前にはホルモンバランスの関係で、イライラしたり、衝動が押さえにくくなって、食欲が増す人もいます。

  • 薬を水なしで飲む
  • 薬を水なしで飲むと、喉や胃壁に張りついて、喉や胃を荒らしてしまうことがあります。


    胃酸が逆流する生活習慣

  • 食べてすぐに横になる
  • 食後間をおかずに寝ると、胃の中のものが逆流しやすくなります。

  • ウエストを締めつける衣服や姿勢
  • スリムなパンツ、ベルト、コルセット、ブラジャーなどで胸やお腹を締めつけたり、猫背など前屈みの姿勢がクセになっていたりすると、胃が圧迫されて胃酸の逆流が起こりやすくなります。

  • 逆流性食道炎
  • 食道と胃の間には、下部食道括約筋があって、胃の内容物の逆流を防いでいます。下部食道括約筋が弱くなると、締まりが悪くなり、逆流が起こります。逆流性食道炎は、胃酸の逆流がくり返されることで、食道に炎症が起こる病気です。括約筋が弱まる原因としては、「慢性胃炎」「加齢」のほか、上に挙げたような生活習慣が関わっています。


    その他の要因

  • 肥満
  • 肥満の人は、逆流性食道炎の原因のひとつである食道裂孔ヘルニアになりやすいといわれています。腹圧が上がることでも逆流しやすくなります。

  • 生理・妊娠
  • 生理のときや妊娠初期には、ホルモンバランスがくずれがちになるため、胃の機能が低下しやすくなります。胸焼けだと思っていたら、つわりだったということも。妊婦では、お腹が大きくなってくると、腹圧が上がることでも胸焼けが起こりやすくなります。
 

胸焼け対策の10か条&こんなときは病院へ

胸焼けの原因に思い当ることはありましたか?
あるという人は積極的に生活習慣の改善を図りましょう。今は胸焼けがないという人も、NG習慣を続けていると、いずれは症状が出てきてしまうかもしれません。

胸焼けを防ぐためのポイントをまとめておきます。

1:食後1~2時間は横にならない
2:夕食は腹八分目、寝る3時間前に終える
3:上体を20~30度高くして寝る(クッションなどを背中に挟むとよい)
4:暴飲暴食を避ける
5:胃に優しい食べもの・飲みものを選ぶ
白湯、アルカリ性の食品(梅干し、牛乳など)、消化酵素を多く含む食品
(大根、キャベツ、リンゴなど)がおすすめ
6:ゆっくり落ち着いて、よく噛んで食べる
7:薬は水と一緒に
8:ストレスを避ける
9:禁煙
10:ホルモンバランスを整える

せっかくなので、胸焼けとよく似た病気についても触れておきます。
狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の前触れとして、胸焼けに近い症状が現れることがあります。それに続いて、胸の痛みや苦しさ、動悸などが起こってきます。

喉に違和感があり、詰まったような感覚がある、喉がイガイガして食べ物が飲み込みにくい、咳が出る…といった場合には、喘息が隠れていることがあります。

胃がんや食道がんでも、初期症状として胸焼けや胸部の痛み、違和感を訴える人が多いようです。 こうした病気との判別は、素人では難しいものです。胸焼け以外にも気になる症状があるという場合は、医師に相談してください。

また、セルフケアでは効果がない、症状が悪化していく、症状が長期間続く、何度も症状をくり返すといった場合も、早めに病院へ行くことをおすすめします。胸焼けは内科、消化器内科、胃腸科で診てくれます。

胃の検査には、胃カメラや胃レントゲンがあります。胃カメラは「苦しい」というイメージがあるかもしれませんが、最近は昔より管が細くなっていたり、鼻から管を入れるやり方があったりと、なるべく身体に負担がかからない配慮がされています。

不調を抱えたまま不安でいるよりは、思い切って病院で診てもらうのが安心ではないでしょうか?

PROFILE

【監修】吉井友季子先生YUKIKO YOSHII

医療法人優美会理事長、吉井クリニック院長
大阪市立大学医学部卒業。H11年大阪府吹田市江坂で吉井クリニックを開院。
内科、外科、婦人科疾患、健診や予防医療、美容医学に力を入れ成果をあげている。
著書多数。健康・美容に関して雑誌、新聞でコメントを求められることも多い。
https://www.yoshiiclinic.jp/

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