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DATE : 2020.10.20

子宮がんとは、どんな病気? 早期発見のために定期検診をきちんと受けよう!

女性特有の病気のひとつとして知られる「子宮がん」。子宮がんとはどのような病気で、早期に発見するためにはどうすればよいのでしょうか? そこで今回は医師監修のもと、子宮がんの特徴や症状、原因などの基礎知識を解説します。

監修:医療法人優美会理事長、吉井クリニック院長 吉井友季子先生
 

子宮がんって、どんな病気?



子宮がんとは?

子宮がんとは、女性特有の臓器である子宮にできる悪性腫瘍のことで、がんができる場所によって大きく2つに分けられます。子宮の下部の筒状の部分(子宮頚部)の粘膜にできるがんを「子宮頸がん」と言います。また、子宮の上部の袋状の部分(子宮体部)の粘膜(子宮内膜)にできるがんを「子宮体がん」と言います。

日本で1年間に子宮がんと診断される人は、子宮頸がんが約11,000人、子宮体がんが約15,000人。2018年には子宮がんで5,000人以上が亡くなっています。また、子宮体がんは閉経前後の50~60歳代で発症する人が多いのに対して、子宮頸がんの罹患率は20歳代から増え30~40歳代がピークとなっているのが特徴です。

子宮がんの症状は、どんなもの?

子宮がんは前がん病変※や初期のがんの状態では、自覚症状がほとんどありません。がんが進行すると、月経中でない時や性交渉の後、閉経後に出血したり、褐色やうみのようなおりものが増えたり、水っぽいおりもの、異臭のあるおりもの増えることがあります。さらに進行すると、下腹部の腹痛や腰痛、背中の痛みなどを伴ったり、尿や便に血が混じったりすることも。
※前がん病変…細胞ががんに進行する可能性が高い状態であること。

子宮がんは早期に発見できれば、治療しやすく治癒する人も多い病気です。しかし、がんが進行してしまうと手術や治療が難しくなるため、早期発見がとても重要です。自覚症状がない場合でも、市町村などの集団検診や人間ドックなどで、定期的に子宮がんの検査を受けることで早期発見につなげることができます。

近年、若い女性でも子宮がんが見つかることが増えていると言われています。がんの進行の度合いにもよりますが、手術によって子宮を摘出することになると、妊娠・出産も望めなくなってしまいます。自覚症状がなくても子宮がん検診を積極的に受け、少しでもおかしいと感じたらすぐに婦人科を受診しましょう。
 

子宮がんの原因



子宮頸がんの原因

子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が深く関わっていることが知られています。性交経験のある女性の約8割が生涯に一度は感染したことがあると言われるありふれたウイルスで、感染しても多くの場合、免疫によって自然に排除されます。しかし、HPVが排除されず感染が続くと、まれに子宮頚部に前がん病変やがんが発生し、子宮頸がんを発症すると考えられています。また、喫煙も子宮頸がんの発生リスクを高める要因のひとつとされています。


子宮頸がんの予防とHPVワクチン

日本でもHPVの感染を予防するワクチンが承認され、接種が可能になりました。子宮頸がんの発生と関係の深い型のHPVの感染を予防できるため、子宮頸がんの予防が期待されます。初めての性交渉の前に接種することが望ましいとされており、10代前半での接種が推奨されています。年代が上がるにつれてHPVに感染したことのある人の割合が増えるため、 HPVワクチンの有効性はその分低くなるといえます。費用対効果を考えると、10代後半以降の接種は産婦人科医と相談した上で行うのがおすすめです。


子宮体がんの原因

子宮体がんは、月経の周期をつくっているエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のバランスの乱れによって引き起こされると考えられています。

子宮体部は固い筋肉からなり、その内面は子宮内膜という粘膜で覆われています。エストロゲンは子宮内膜を増殖させる働きがあり、プロゲステロンは増殖を抑える働きがあります。閉経が近づいている人や、若くても月経の周期が安定していない人は、ホルモンのバランスが乱れてエストロゲンの割合が高くなりがちです。その結果、子宮内膜が増殖し続け、子宮内膜増殖症と言われる病変となり、この一部ががんに進展するのが、子宮体がんの主な原因とされています。
 

子宮がんの早期発見のために定期健診が大切!



子宮がん検診を定期的に受けよう!

子宮がんを早期に発見するためには、定期検診を受けることが最大の対策です。20歳以上の女性は2年に1回、子宮がんの検診を受けることが推奨されています。ほとんどの市区町村が費用の一部を公費で負担していますから、まずは、お住まいの市区町村のホームページなどで確認してみてください。

一般的に子宮がん検診では、問診、視診、細胞診が行われます。問診では、不正出血などの症状の有無、月経の状態、妊娠と分娩歴などを確認します。

細胞診とは直接細胞を採取して異常がないか調べることです。子宮頚がん検診では、子宮頚部の粘膜をブラシ状あるいはヘラ状の器具でこすって細胞をとり顕微鏡で異常がないか調べます。一方で、子宮体がんの細胞診は、チューブ状の器具を子宮内腔まで挿入して細胞を採取する必要があるため、集団検診ではあまり普及していません。市区町村などの集団検診で子宮がん検診を受ける場合は、検査の内容をよく確認する必要があります。

検診で「精密検査が必要(がんの疑いあり)」という結果が出た場合は、検診先の案内をよく確認して、必ず精密検査を受けましょう。


子宮がんの検査と治療

子宮がんの疑いがある場合は、拡大鏡で子宮頸部を観察したり、組織を採取して詳しく調べたりして、がんがあるかどうかを詳しく調べます。子宮体がんを調べるために、子宮鏡という内視鏡検査が行われることもあります。さらに、がんの深さや大きさ、ほかの臓器への転移の有無を調べるために、CTやMRIなどの画像検査が行われることもあります。

子宮がんの治療は、早期であれば、がんを切除、あるいは子宮を摘出する手術が行われるのが基本です。がんが進行してしまって手術が難しい場合、あるいは再発を防ぐ目的で、放射線療法、化学療法(抗がん剤)が行われることもあります。


早期発見が大切な理由

子宮がんは早期に発見できれば、治癒率も高まり、子宮を温存することも充分に可能です。しかし、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、早期に発見するためには検診などで定期的にチェックすることが重要です。


最近では若い女性でも子宮がんを発症する例が増えているため、子宮を失ったり、命を落としたりするリスクも他人事ではありません。「自覚症状がないから」と考えず、ぜひ定期検診を受けてください。もし、不正出血など気になることがあれば、ためらわずに婦人科を受診しましょう。

PROFILE

【監修】吉井友季子YUKIKO YOSHII

医療法人優美会理事長、吉井クリニック院長
大阪市立大学医学部卒業。H11年大阪府吹田市江坂で吉井クリニックを開院。内科、外科、婦人科疾患、健診や予防医療、美容医学に力を入れ成果をあげている。著書多数。健康・美容に関して雑誌、新聞でコメントを求められることも多い。
https://www.yoshiiclinic.jp/

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