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DATE : 2022.09.26

30代半ばになったら知っておきたい! 誰もが迎える「更年期」の素朴な疑問Q&A

ときに嘲笑する意味をこめて使われることもある「更年期」という言葉。なんとなくマイナスのイメージを抱いている方も多いかもしれません。しかし、更年期は誰にでも平等に訪れるもの。女性としていつか迎える身体の変化です。日本産科婦人科学会 専門医の窪田真知先生に“更年期にまつわる素朴な疑問”について教えてもらいました。

今回教えてくれるのは……

取材・監修:日本産科婦人科学会専門医
日本医師会認定産業医資格
「さくま診療所」スマルナ所属医師
窪田真知 先生


福岡大学医学部を卒業後、大学病院や福岡赤十字病院に所属し、臨床経験を積む。幅広い年代の患者の診療にあたる傍ら、2015年からは嘱託産業医としても活動。学生向けの講演や市民講座で講師を務めることも。  

そもそも、「更年期」って?


「更年期」というワードは世間に広く知られていますが、一体いつ頃に訪れるもので、どんな症状が出るか、実際に更年期を迎えるまで詳しく知っている方は多くありません。まずは、更年期とはどんなものかという基本と、「更年期“症状”」と「更年期“障害”」の違いについてご説明します。


更年期とは

更年期とは、閉経を起点にしてその前後5年間、合計10年間の期間を指します。つまり、更年期は女性なら誰もがいつか迎えるものです。
また、日本人が閉経を迎える年齢の平均は約50歳ですが、早い方では40代前半で月経がなくなることも。つまり、30代で更年期を迎える可能性もあります


更年期“症状”とは

更年期には女性ホルモンが急激に減少し、それに伴ってさまざまな症状が現れます。そのなかで何らかの病気に起因するもの以外を「更年期症状」といい、代表的な例は以下のようなものが挙げられます。

・血管運動神経系の症状……ホットフラッシュ、動悸、息切れ、むくみ
・運動器官系の症状……肩こり、関節痛、しびれ
・精神神経系の症状……頭痛、めまい、不安感、不眠

私の臨床経験からの推測では、過半数の女性が更年期症状を経験します。更年期症状であることに気づかず、やり過ごしている方も少なくありません。


更年期“障害”とは

上記でご紹介した症状が重く、日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。更年期を迎えるとすべての方が更年期障害になる思われがちですが、それは誤解です。


ちなみに、更年期は女性特有のものだと思われがちですが、いわゆる「男性更年期」も存在します。男性ホルモンの減少によって体調に異変が起こる期間のことで、ほてりや発汗、イライラなど、女性の更年期と同じような症状が見られます。  

「更年期障害」にならない方法はある?


残念ながら、現在のところ有効な予防策はありません。人体の仕組みをよく知っている女性医師であっても、自分の更年期障害を防ぐことはできないんです。

ただ、先ほどお伝えしたとおり、多くの方が「更年期“症状”」を感じますが、全員が「更年期“障害”」になるわけではありません。そして、心身ともに“キャパオーバー”になりやすい状態にあると、更年期障害を招く可能性が高まる傾向にあります。


「更年期障害」になりやすい方の特徴

更年期障害になりやすい方の特徴としては、以下の3つがあると考えられています。

① 健康状態に問題がある
精神疾患を含め、健康状態に何らかの不安がある方。

② ストレスがかかりやすい環境にある
親の介護や夫の退職、子どもが巣立つなど、環境の変化にさらされている方。

③ 心に負担をかけやすい性格である
真面目で完璧主義、細かなことに気がつきやすい性格の方。
 

「更年期症状」を感じたら、婦人科に行った方が良い?


こちらのグラフを見ると、多くの方が更年期特有の症状を感じているものの、受診者は年代を問わず3割ほどしかいないことがわかります。一方、40代後半では受診した方の約半数、50代では6割以上の方が、「更年期障害」「更年期症状」と診断を受けています。

これはつまり、裏を返せば、更年期障害や更年期症状を、医療のサポート無しに乗り越えている方がとても多いということ。無理なくすこやかに毎日を過ごせているなら受診の必要はありませんが、「つらいけど受診しにくいな……」と感じるなら、ひとりで頑張る必要はありません。ぜひ婦人科の受診を検討してください。医師に悩みを吐き出すだけでも心の負担軽減が期待でき、更年期障害の場合には正しい治療によって、突破口を見つけられる可能性が高まります。

もし「若い妊婦さんがたくさんいる場所で更年期の相談をするのは気後れしてしまう」と感じるなら、産科の併設がない婦人科への相談がおすすめです。  

「更年期障害」は病院で治療できる?


婦人科を受診し、「更年期障害」と診断を受けた場合は、病院で治療を受けることが可能です。治療の選択肢は、大きく「薬を使用しない治療」と「薬を使用する治療」の2つに分けられます。

【薬を使用しない治療】
① 生活習慣の改善
バランスのとれた食生活や十分な睡眠、適度な運動は、症状の悪化を防ぐ効果を期待できます。
② 行動認知療法
症状を記録するなどして、体の変化を正しく把握する方法です。
③ サプリメント
イソフラボンやエクオールといったサプリメントは、症状の緩和に役立つ可能性があります。

【薬を使用する治療】
① ホルモン補充療法
ホルモン(エストロゲン)を補うことで症状を緩和させます。
② 漢方薬
主に当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などを用いて、心身のバランスの乱れを整えます。
③ 向精神薬

精神症状がつらい場合に用いられることがあります。


どんな治療を選択するかは、医師と相談のうえ決めていきましょう。
なお、かかりつけの婦人科があると、仕事や家庭の状況をはじめ、これまでの診察で蓄積した情報に基づいたアドバイスをもらえます。更年期の相談もしやすくなるので、早いうちからかかりつけ医をもつことをおすすめします 

「更年期」をポジティブに過ごす方法は?


女性の場合、誰かに共感してもらえることで心が軽くなる方が多い傾向にあると思います。ぜひ周りの人を頼って、ひとりで悩まないようにしてください。
また、自分をほめることも大切。年齢を重ねると、なかなか人にほめてもらえることがなくなる分、自身を労わることを意識してください。それから、自分がハッピーになれる方法を知っておくこともおすすめです。更年期を迎える前から、生きがいや趣味をつくっておくと、きっと支えになります。
いつか迎えるそのときに向けて、正しい知識を身につけ、少しずつ準備をしておきましょう。

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