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DATE : 2018.10.22

エコー(超音波)検査では何が見つかるの?乳がん検診について知ろう

乳がんの早期発見のためには、適切な乳がん検診を受けることが大切です。この記事では、小さなしこりを見つけることが可能といわれるエコー(超音波)検査について詳しく解説していきます。エコー(超音波)検査でわかること、エコーとマンモグラフィの違いなど、医師監修のもとご説明します。

監修:むらさき乳腺クリニック五反田 院長 池田紫先生 

乳がんのエコー(超音波)検査でわかること

乳がんのエコー(超音波)検査は、ゼリーを塗った乳房表面に、直接「プローブ」という器具を当て、さまざま方向に滑らせながら、画像を映し出していきます。はね返ってくる音波の映像から、病変がないかどうかを調べる検査です。

エコー(超音波)検査では、触診では見つけられない乳がんも検出可能といわれています。医学的に「腫瘤(しゅりゅう)」と呼ばれる、数㎜の小さな「しこり」も見つけることができるとされているのです。

そのしこりは、全体的な形や他の組織との境界面の状態などから、良性か悪性かが判断されます。しこりが悪性かどうかは、エコー(超音波)検査の映像を通して、見分けることができます。

エコー検査はどこで受けられる?

エコー(超音波)検診をはじめとした乳がん検診は、「乳腺科・乳腺外科」のあるクリニックを受診しましょう。乳房の検査は婦人科というイメージがあるかもしれませんが、婦人科で乳腺専門医も兼ねている医師はまれです。婦人科を受診する場合は、必ず乳腺専門医かどうか確認をしましょう。

また、エコー(超音波)検査を自費で受ける場合の目安は4,000円前後です。 

エコーとマンモグラフィはどちらを受ければいいの?

40歳以上の女性は、医師による視触診に加えて、マンモグラフィとエコー(超音波)検査の両方を受けることで乳がん発見率が上昇するとされています。ただし、マンモグラフィは微量ながら放射線被ばくを受けることがあります。よって、放射線被ばくを避けたい妊娠・授乳中の方、若年の方、頻繁に検査をする必要がある方の場合は、マンモグラフィは避け、医師による視触診とエコー(超音波)の検査が適しています。
またマンモグラフィは、乳腺が発達している場合、しこりの検出が難しいことがあります。さらに、乳房をはさんで検査するため、痛みを伴うこともあることから、乳腺が発達している方、乳房の圧迫に耐えられない方などもエコー(超音波)検査が適しています。



エコーとマンモグラフィの違いは?



マンモグラフィは、乳房専用のレントゲン検査です。圧迫板で乳房をはさみ、薄く引き延ばして撮影します。一方エコー(超音波)は、はねかえってくる音波を画像化して、乳房内部の様子を映し出します。マンモグラフィとエコー(超音波)は、上の図のようにそれぞれに長所と短所があります。どちらが優れているとは簡単に判断できませんので、両方の特徴を理解して、適切な検査を選択しましょう。

また現時点では、マンモグラフィは40歳以上の方において有効性を評価されています。自治体が実施する乳がん検診ではマンモグラフィが推奨され、自治体によってはエコー(超音波)検査が実施されないところもあります。 

乳がん検診で「要精密検査」となったら?

乳がん検診を終えると、「異常なし」「要経過観察」「要精密検査」と書かれた検査結果が届きます。このうち「要精密検査」とは、疑わしいところがあるので、さらに詳しい検査が必要となります。



要精密検査=乳がんではない

「要精密検査」と書いてあると、とても心配になってしまうでしょう。しかし、「要精密検査=悪性」というわけではなく、精密検査を受けた結果、良性である場合が約9割を占めます。むやみに怖がることなく、リラックスして精密検査を受けて確かめましょう。

乳がんにおける「石灰化」とは?

乳がん検診で「石灰化」という言葉を使われることがあります。石灰化とは、カルシウムの沈着した状態であり、石灰化している部分そのものは乳がんではありません。

石灰化には良性のものと、乳がんに関連するものがあります。良性の石灰化とは、母乳が通る管(乳管)沿いや、母乳を作る腺葉の分泌液に生じた沈殿物による石灰化です。

一方、乳がんと関連のある石灰化とは、がん細胞が増殖していく過程で、産出する分泌物やがんの壊死に伴って生じた石灰化です。石灰化はマンモグラフィによって見つけることができます。

石灰化が良性と診断された場合は、検診結果は「異常なし」となりますが、定期的な検診は必要です。石灰化が乳がんと関連があると疑われた場合は、「要精密検査」の通知が届きます。

精密検査の流れ



精密検査では、マンモグラフィやエコー(超音波)検査でみつかった病変が、どのような状態であるのか、治療が必要な病気なのか、という診断をするための詳しい検査を受けます。

具体的には、「細胞診」や「組織診」へと進みます。これは、病理検査といって乳房から細胞や組織を採取して、がん細胞を顕微鏡で見る検査です。

「細胞診」とは「穿刺(せんし)吸引細胞診」とも呼ばれ、病変の位置に細くて長い針をさして病変の一部の細胞を吸いとる検査です。「組織診」は「針生検」とも呼ばれ、病変の一部の組織を切り取るように採取し、調べる検査法です。病変の位置に局所麻酔を使用して、細胞診よりひと回り太い針を刺して組織を取り、検査・診断をします。

これらの精密検査の結果で、良性であるか悪性であるか、はっきりと診断できます。細胞診、組織診などを経て、乳がんであると診断された場合は、治療方針を決めるためのMRIやCTなどによる画像診断を受けることになります。


乳がん検診のなかでも、エコー(超音波)とマンモグラフィでは、それぞれ長所と短所があること、発見できることが異なるということがご理解いただけたでしょうか。両方の検査を行うことがベストであることを前提に、ご自身の年齢や乳房の状態によって適切な乳がん検診を医師と相談しましょう。

PROFILE

【監修】池田紫先生IKEDA MURASAKI

むらさき乳腺クリニック五反田 院長
日本医科大学卒業後、昭和大学病院にて研鑽を積み、ブレストセンター設立にも携わる。2011年にはシンガポールに留学し、ホルモン剤や分子標的治療薬が効かない乳がんの病理特徴についての研究に従事。2018年、むらさき乳腺クリニック五反田を開院。昭和大学病院、およびその他の大学病院やがん専門病院、総合病院と連携し、納得のいく治療が受けられるトータルサポートをしている。
https://www.murasakibreastclinic.com/

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