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DATE : 2018.12.06

乳がん検診の種類と選び方。自分に合った検診を選ぶには?

乳がんの早期発見のためには、定期的に乳がん検診を受けることが大切です。乳がんの検診で行われる検査にはいくつかの種類がありますが、受ける人の年齢や体調などによって必要な検査は異なります。ここでは、医師監修のもと、乳がん検診の種類や適切な選び方について説明します。

監修:平松レディースクリニック 院長 平松秀子先生 

乳がん検診にはどんな種類があるの?

乳がん検診には、医師による「問診・視触診」に加えて、2種類の画像診断「エコー(超音波)検査」と「マンモグラフィ検査」があります。それぞれについて詳しく説明します。

問診 / 視触診



乳房にしこりや変形、陥没、分泌物がないかを問診、視診、触診によって医師が確認します。
触診は体への負担はありませんが、しこりが小さい場合や深い位置に存在する場合には判別することができないのがデメリット。これらの所要時間は5分くらいです。

-問診

乳房について日常的に感じている不安や違和感がないかどうか、医師との会話を通じて確認します。心配なことがあれば、積極的に相談しましょう。

-視診

乳房の形や皮膚の色、左右の大きさ、引きつれやくぼみの有無、乳頭の状態などを医師が観察します。

-触診

医師が乳房に直接触れながら、しこりの有無、位置、大きさ、固さ、乳頭分泌物の有無、わきの下のリンパ節に異常がないかどうかなどを確認します。


問診・視触診のメリットとデメリット

  • メリット:
  • 不安な点を医師に直接相談できる
    放射線による被ばくがない
    検査に伴う痛みがない

  • デメリット:
  • しこりがある程度大きくなっていないと判別が難しい

エコー(超音波)検査



エコー(超音波)検査は、診察台のうえに仰向けに寝そべった姿勢で行います。乳房に超音波検査用ゼリーを塗り、エコーを出すプローブという器具を直接乳房に当ててさまざま方向に滑らせ内部の画像を映し出していく検査で、所要時間は10分程度です。

放射線による被ばくや、検査に伴う痛みはなく、手で触れることのできない小さなしこりも発見することができます。また、妊娠中や授乳中の女性にも検査が可能です。

ただし、病変に伴うことがある微細な「石灰化(カルシウム成分)」は発見しにくいという弱点があります。


エコー(超音波)検査のメリットとデメリット

  • メリット:
  • 手で触れただけでは判断しづらい小さなしこりを発見できる
    放射線による被ばくがない
    検査に伴う痛みがない
    妊娠中、授乳中も検査が受けられる

  • デメリット:
  • 微細な石灰化(カルシウム成分)は発見しにくい

マンモグラフィ検査



マンモグラフィ検査では、2枚の透明な板で乳房を挟んで圧迫し、薄くのばした状態で撮影します。所要時間は10分くらいで、しこりや視触診やエコー(超音波)検査では見つけられない微細な「石灰化(カルシウム成分)」も発見できるのが特長です。マンモグラフィ検査を受けることで、乳がんによる死亡率を下げる(早期発見できる)効果があるとされています。

一方、マンモグラフィ検査は乳腺が発達している乳房では小さなしこりが発見しづらくなります。乳腺が発達していると乳房全体が白っぽく映ってしまい、小さなしこりを発見しづらいという欠点があるのです。

一方、このようなタイプの乳房でもマンモグラフィは石灰化の発見には有用です。また、乳房が張っている場合は、圧迫することによる痛みを感じる場合が多く、少ないながら放射線被ばくもあります。

乳腺の状態には個人差があるので、自分の乳房がマンモグラフィに適しているかどうか、どのくらいの頻度で検査を受けるのがよいか、医師に確認してみると良いでしょう。


マンモグラフィ検査のメリットとデメリット

  • メリット:
  • 微細な石灰化(カルシウム成分)も発見できる

  • デメリット:
  • 乳腺が発達している乳房の場合、小さなしこりを発見しづらい
    少ないながら放射線による被ばくがある
    圧迫により検査に伴う痛みを感じる場合が多い
 

自分に合った乳がん検診の選び方は?

乳がん検診で行われる検査には、それぞれメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたでしょうか。

エコー(超音波)検査と、マンモグラフィ検査にはそれぞれ弱点があり、両方の検査を受けることでその弱点を補い合い、より正確な診断が可能になります。

繰り返しになりますが、マンモグラフィ検査の長所は、視触診ではわからない初期の乳がんを「石灰化」という形で見つけられる点。エコー(超音波)検査では、細かい石灰化の描出は難しくなります。
しかし、乳腺が発達した女性の場合、マンモグラフィ検査では乳房全体が白く映り、小さなしこりは、この中に隠されて見えづらくなります。その点、エコー(超音波)検査は乳腺が発達していても小さな乳がんのしこりを発見可能です。

年代によって、必要な乳がん検診の違いはある?

一般的に、若い女性ほど、また授乳の経験がない女性では乳腺が発達している傾向にあります。乳腺が発達しているとマンモグラフィ検査があまり有益でないケースもあるので、その場合はエコー(超音波)検査を優先して選ぶと良いでしょう。
とはいえ、どの年代であっても、マンモグラフィ検査の方がエコー(超音波)検査よりも、石灰化を伴う初期がんの発見に優れているということに変わりはありません。判断に迷う場合は、医師に相談してください。



【すべての年代】

月に1回程度の乳がんセルフチェックを行いましょう。

【20歳代】

乳がんリスクの高い人、自覚症状のある人は専門医を受診

【30歳代】

超音波検査(乳腺組織が多い30歳代、乳腺組織が多い人が小さなしこりを発見するには超音波が有用)
マンモグラフィ検査(マンモグラフィ検査でしか検出できない石灰化が発見されることがある)の両方

【40歳代以降】

マンモグラフィ検査
超音波検査(小さなしこりを発見するのに有用)の両方 

検診を受ける適切な頻度やタイミングは?



では、乳がん検診はどれくらいの頻度で受診すれば良いのでしょうか。また、より正確な診断結果を得るために、乳がん検診に最適なタイミングはあるのでしょうか。

乳がん検診を受ける適切な頻度

乳がんは40代、50代、60代に多い病気ですが、最近では30代の後半にも多くなっています。30代になったら症状がなくても年に1度、乳がん検診を受けることをお勧めします。また、血縁者に乳がんの方がいる場合は通常よりもリスクが高いため、必要に応じてより頻回に検査を受けた方が良い場合もあります。検査の間隔や方法については医師と相談してください。


生理が終わったころがベストタイミング

生理前や生理中は女性ホルモンの影響により、乳房全体に張りが出ます。乳房に張りが出ている状態でマンモグラフィによって胸を圧迫すると、痛みを強く感じる人も少なくありません。正しく画像診断を受けるためにも、痛みを避けるためにも、乳がん検診を受けるのは生理の後が良いでしょう。


乳がん検診を受けるときに、注意が必要な人もいます

妊娠中や授乳中でも乳がんになるリスクがあるので、ぜひ乳がん検診を受けましょう。ただし、マンモグラフィ検査には、少量ではありますが放射線被ばくを伴いますので、妊娠中はエコー(超音波)検査のみ行います。また、授乳期は乳房の圧迫も難しく、乳腺組織の肥厚のためマンモグラフィでは全体が真っ白な画像になることから、エコー(超音波)検査のみ行います。

ちなみに、豊胸術(シリコン挿入など)をしている場合、検査は不可能ではありませんが、精度が下がることが指摘されています。医師と十分に相談のうえで、適切な検査を受けてください。
ペースメーカーを装着されている方はマンモグラフィ検査を受けることができないので、事前に医師に伝えるようにしましょう。

定期的に乳がん検診を受けることは、将来的な病気のリスクを下げるためにとても重要です。乳がんは、早期発見・早期治療ができれば、90%以上が治る病気。ぜひ乳がん検診を活用して、未来の健康を守りましょう。

PROFILE

【監修】平松秀子先生HIDEKO HIRAMATSU

平松レディースクリニック院長
東京女子医科大学卒業。慶應義塾大学大学院医学研究科修了。慶應義塾大学医学部放射線科学教室助手、米国ハーバード大学留学、慶應義塾大学医学部放射線診断科助手を経て、2005より現職。医学部卒業後、一貫して乳がんなどの乳腺疾患の診断、治療に携わる。日本医学放射線学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医師。
http://www.hiramatsu-clinic.jp/

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