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DATE : 2018.08.06

乳がんは早期発見が大切

乳がんは、なぜ早期に発見することが大切なのでしょうか。ここでは早期発見のメリットに加え、セルフチェックの方法や検査などについてご紹介します。

監修:ピンクリボン ブレストケアクリニック表参道 院長 島田菜穂子先生 

1.早期発見のメリット(一例)

乳がんは早い段階であれば、90%以上が治る病気です。早期発見・早期治療をおこなうことで、命が守られるだけでなく、乳房を残したり、体に負担の少ない治療を選んだりできます。

2.乳がんになりやすい人は、特に注意が必要です

遺伝のほか、体質や生活習慣も乳がんの発生に影響します。以下のチェックリストにひとつでも心当たりがある人は乳がんにかかりやすい傾向にあるので、とくに注意しましょう。


現代の女性は、初経の年齢が早かったり出産回数が少なかったりと、昔より月経のある期間が長くなっています。乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンと深く関係して、月経の回数が多いほどエストロゲンが分泌される期間が長くなり、そのぶん乳がんになる可能性が高まるのです。
チェックリストに当てはまる人がみんな乳がんになるわけではありませんが、リスクがあることを知り、早期発見のために対策をしましょう。

また逆に、チェック項目にあてはまらない人は乳がんにならない、ということではありません。女性にとって乳がんが一番身近ながんになっていることは事実なので、心配しすぎず、安心しすぎず、だれもが乳がんについての認識を持つことが大切です。 

3.自分でチェックしてみよう

早期発見のためには、セルフチェックが重要です。月に1回おこなうなら、タイミングは、月経が始まって5~7日目がベスト。月経にともなう乳房のハリがおさまってやわらかくなり、しこりなどの変化を見つけやすくなります。

セルフチェックでは、目で見て手でさわって異常がないかを確認しましょう。わきの下や乳房の下などは見えにくいため、上半身がすべて映る大きな鏡の前でチェックします。

変化を見逃さないためには、いつもの状態を知ることが重要。入浴時にボディソープや石けんをつけた手で乳房を洗って、さわったときの感覚を覚えておくとよいでしょう。 

4.乳がん検診を見直そう

乳がん検診の受診率はオランダが75.4%、アメリカが80.4%、フランスが75.4%なのに対し、日本は36.4%ととても低くなっています(OECDヘルスデータ2014年版)。

ピンクリボン運動などの活動を通して、早期発見の大切さは認知されてきているものの、実際の受診になかなかつながらないのが現状です。

早期発見・早期治療によって乳がんが治る確率は高くなりますが、その反面、放っておくと命に関わる病気であることを忘れてはいけません。自治体で配布される健康診断の無料クーポンや、会社の健康診断の機会なども上手に活用して、定期的に乳がん検診を受けましょう。

定期的な検診によって異常がないかどうかを確認するだけでなく、自分のいつもの状態を知ることも大切です。そして、その状態を自分と一緒に情報共有できる乳腺の主治医(ブレストケアドクター)を見つけておくことも、とても大切。かかりつけ医がいれば、ごくわずかな異常を発見できるため早期発見につながりますし、いざというときにもしっかりと相談でき、安心・迅速に治療を進められます。 

5.トラブルを感じたら「乳腺科」へ

乳房にトラブルを感じたら、早めに乳腺科などの専門外来を受診します。定期的に乳がん検診をお願いしている乳腺の主治医(ブレストケアドクター)がいる場合は、まずはかかりつけの先生に相談しましょう。

病院選びに悩んだら、日本乳癌学会のサイト上で公開されている、認定・関連施設を参考にしてみてください。
https://jbcs.gr.jp/

乳腺科で受けられる検査の代表例

①問診

はじめて受診するときは、まず問診を受けます。自覚症状やいままでにかかった病気、家族の中で乳がんになった人がいるかなどの質問に答えます。
次に、おこなわれるのが医師による視診・触診。検査着に着替えたり、服を脱いだりして診察するため、上下に分かれた脱ぎ着しやすい服を着ていくとよいでしょう。

②マンモグラフィ

視診や触診では発見できない小さなしこりや、超音波検査では見つけられない早期乳がんのサインである石灰化を詳しく観察できる検査です。
ただし、乳腺が発達している方(高濃度乳房)などはマンモグラフィで白く映る乳腺の影にしこりが隠れてしまい、発見できないこともあります。2枚の板で乳房を挟んで撮影するので、痛いイメージがあるかもしれませんが、乳房の圧迫はわずか数秒。
月経前は痛みを感じやすいため、月経中~月経開始後10日までに受けると痛みがおさえられます。

③超音波検査(エコー)

診察台の上で仰向けに寝て、人間の耳には聞こえにくい高い周波数の音(超音波)を発する小さな機械を乳房にあて、その反射波を画像化して乳房の中の状態を見る検査です。
マンモグラフィと違ってX線検査ではないため、放射線の被ばくはなく、放射線の影響を受けやすい若年の方や妊娠中でも受けられます。
視触診では確認できないような小さなしこりを見つけ出すことに適していますが、マンモグラフィで写し出される早期がんのサインである石灰化を写し出すことはできません。

POINT!

マンモグラフィと超音波検査(エコー)には、それぞれ得意分野と不得意分野があります。両方の検査を同時に受け、その情報を総合的に判断することがより精度の高い診断につながるので、とくに初めてのときは、両方の検査を受けましょう。
乳房の状態をしっかり確認することで、どれくらいの頻度で検診を受ければよいのか、どんな検査が適しているのかが分かるので、かかりつけ医と一緒にあなたに合った乳がん検診のプランを決めてください。

PROFILE

【監修】島田菜穂子先生NAOKO SHIMADA

認定NPO法人 乳房健康研究会 副理事長。
ピンクリボン ブレストケアクリニック表参道 院長。
1986年筑波大学卒業後、筑波大学附属病院、東京逓信病院勤務、同院で1992年乳腺外来を開設、1999年米国ワシントン大学ブレストヘルスセンター留学を経て2008年ピンクリボン ブレストケアクリニック表参道を開院。2000年乳房健康研究会を発足し、乳がん啓発団体として日本初のNPO認証を受けピンクリボン運動を推進。日本医学放射線学会放射線科専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本がん検診診断学会認定医、日本スポーツ協会認定スポーツドクターなどの資格を持つ。

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