MONEY : お金
DATE : 2024.04.15
vol.6 「女性向け保険」「女性用がん保険」ってなに?どうして「男性向け保険」はないの?――女性向け保険のホントの話
女性向け保険、女性用がん保険という名前は聞いたことがあるけれど、普通の保険とどう違うの?保険に入っていても女性向けのものをプラスした方がいいの?と感じている人は少なくありません。
「知っているだけで得をする“保険の超基本”と選び方のポイント」についてお話しした前回に続き、今回は、女性向け保険の特徴や必要性について、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんにお話を聞きました。お金のプロが教える“保険選びのポイント”も要チェックです!
質問に答えてくれるのは……
風呂内 亜矢(ふろうち あや)さん
初心者にもわかりやすいお金の話と、明るく優しい人柄で、テレビ・雑誌・Webでひっぱりだこ。20代のとき、貯蓄80万円で新築マンションを購入したことをきっかけにお金について学び始め、FP資格を取得したという異色の経歴の持ち主。最新書籍「超ど素人がはじめる資産運用 第2版」(翔泳社)。
ファイナンシャルプランナー風呂内亜矢オフィシャルサイト
Q1:「女性向け保険」ってどういうもの?
Q2:「男性向け保険」がないのはどうして?
最近では結婚や出産のあとも、独身のときと同じように働く女性が増えてきていますが、働き方を変える(変えざるをえない)方も少なくありません。女性には“この先、自分にどんな変化があるかわからない”という意識が常にあり、万が一に備えることの重要性を強く認識しているからこそ、こうした女性向け保険のニーズも高いのかと思います。
あとは、女性のほうが男性に比べて、寿命が長い傾向にあることも関係していると考えられます。病気やケガのリスクが高くなる高齢期が長いですから、セカンドライフに対する危機感も、男性より強いといえるかもしれません。
Q3:「女性特有のがん」って、一体なに?
「女性特有のがん」というのは、子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)、卵巣がん、膣がん、卵管がんなど、女性特有の器官に起こるがんのこと。乳がんは男性もかかる病気ですが、女性のかかるリスクが高いことから、多くの場合、「女性用がん保険」の保障範囲に含まれます。
ちなみに、乳がんは全世代の日本人女性のうち9人に1人がかかる病気(※1)といわれていて、30代女性の場合では、すべてのがんのなかで乳がんにかかる人が最も多く22%(※2)。続いて子宮頸がんが13%(※2)です。
(※1)出典:国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html) 2.がんの罹患(新たにがんと診断されること)>3)がんに罹患する確率~累積罹患リスク
(※2)出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児・AYA世代のがん罹患」
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html)2.小児・AYA世代のがん種の内訳の変化
ただしここで注意したいのは、「女性がかかるのは、女性特有のがんだけではない」という点。女性特有のがんに備えるのと同じだけ、それ以外のがんや、がん以外の病気・ケガに備えることも大切です。
Q4:「女性向けの医療保険」と「女性用がん保険」はどう違うの?
Q5:「女性特約」と「女性用がん保険」はどう違うの?
Q6:女性はやっぱり「女性向け保険」に入るべき?
女性だからといって、みんながみんな女性向け保険に入る必要はありません。今加入している医療保険に十分な保障がついていれば、上乗せしなくても大丈夫です。女性特有の臓器だからといって、他の臓器よりも手術費や入院費が多く必要とも限りません。
ただし、手術をした場合に生じる可能性がある見た目の変化や、働き方が変わった場合の備えとして、医療費以外に充てられるお金が必要だと感じるなら、女性向け保険をプラスするのも選択肢のひとつです。
女性だから女性向け保険に入る、というのではなく、なににお金が必要で、どれくらい備えておけばいいのかを考えて、加入を検討してくださいね。
Q7:20~30代の女性が保険を選ぶときに、気をつけた方がいいことはある?
「もしもが起こっても、保険に加入しておけばそれだけで安心」と思っている方もいらっしゃるもしれませんが、自分が加入している保険の内容についてきちんと理解できていて初めて、“もしもに備えている”といえます。
というのも、保険金や給付金というのは、基本的には利用者からの申請があって初めて支払われるものだからです。保険内容について自分でしっかりと理解していないと、「保険に加入しているにもかかわらず、ケガや病気をしたときに支払い請求をしない」という事態に陥りがち。どんなときに保険金や給付金を受け取れるのか知らないために、せっかくの備えを活用できていない方は実は少なくありません。
また、先ほどお話しした女性特約と女性用がん保険のように、中身をよく知らずに加入すると保障内容が重複してしまうケースもあるので、注意しましょう。
保険に入るときにまず重要なのは、「中身を理解すること」です。そのため、保険商品を選ぶときは、“シンプルでわかりやすいこと”をひとつの選択基準にするのが良いですね。