MYSELF自分

MYSELF : 自分

DATE : 2023.10.31

ライフラインチャートで「自分らしさ」を確認しよう

前回の記事では、「嫌なこと」を100個書き出すことで、モヤモヤしていた本心が明確になることをご紹介しました。次のステップとしてトライしてほしいのが、「ライフラインチャート」の作成です。チャートを作って過去を振り返り、分析すれば、自ずと「自分らしさ」が見えてきます。

今回教えてくれるのは……

取材・監修:株式会社MYコンパス代表取締役
キャリアコンサルタント
岩橋ひかりさん


お茶の水女子大学を卒業後、株式会社セブン銀行に入社。広告、企画部門を経て、人事部門で新卒採用やダイバーシティ推進に従事。その後第2子を出産し、2017年には株式会社MYコンパスを創業。
生き方に働き方を合わせる「ライフキャリア思考」を提唱し、国内外1万人以上の女性を支援。企業での講演やメディアでの連載、支援者育成など幅広く活動中。著書に『最強のライフキャリア論。』(時事通信社)がある。
https://mycompass.co.jp/  

「自分らしさ」のヒントはこれまでの歩みにある


多様な生き方を選べるようになった今の時代、「自分らしさ」を軸に選択することがますます重要になっています。一方で、「自分らしさってなんだろう」と悩む声もたくさん耳にします。
私は、自分らしさのヒントはこれまでの歩みに隠れていると考えています。人生の中で、いつどんなことが起こったか、その事実に対してどんな感情を抱いたかを振り返ってみてください。すると、あなたが「自身の人生をどのように捉えているか」も客観視でき、自然と自分らしさが見えてきます。

そんな過去の整理・分析をするには、この後にご紹介する「ライフラインチャート」を作るのがおすすめです。チャートを作ろうとすると、人は空白を埋めたくなるもの。漠然と「昔どんなことがあったか」と考えるだけでは思い出せない記憶も蘇りやすくなりますよ。  

あなたのライフラインチャートを作ってみよう

ライフラインチャートとは、以下のようなステップで「人生の充実度」をチャートで表すものです。



【STEP 1】
横軸で年齢を表します。10歳から現在の年齢までを均等に配置してください。


【STEP 2】
それぞれの年齢で起こったライフイベントについて、「自分」「仕事」「家族」「健康」「お金」の5つのカテゴリに分けて記入します。そのときどんな感情を抱いたかも記録してください。

[具体的には]
【1】自分
資格や語学の勉強、趣味に関することなど
【2】仕事
異動や転職、仕事での失敗談・成功談
【3】家族
結婚や出産、パートナーや子どもに関すること
【4】健康
健康管理や入院手術に関することなど
【5】お金
投資や保険への加入、支出の大きな変動など


【STEP 3】
それぞれのライフイベントについて、「だめだった」「びみょう」「普通」「よかった」「最高!」の5段階で記入します。


STEP2のカテゴリは、過去を振り返りやすくなるように設けています。ただし、大切なのは各カテゴリに当てはまる「過去の事実」をまとめることではなく、事実に対する「感情」を整理することです。

現代女性の多くは「頭優位」で生きています。チャートは誰に見せるものでもないので、作る際は自分に正直に、「心優位」になってください。なお、『Life is』のライフデザイン機能を使うと、簡単にチャートを作成できます。利用できる方はぜひ活用してください。


「心優位」でチャートを作るコツ

心優位になるためには、5つのカテゴリのうち、特に【1】自分、【2】仕事、【3】家族を重視してください。振り返る際は堅苦しく考えず、【1】は恋人や友人との関係や趣味がメインでOK。【2】は異動や昇進の事実だけでなく、うれしかったこと、辞めたいと思ったことなど、感情と結びつけるといいですよ。

また、【4】【5】はほかの3つに比べて感情と結びつきにくいですが、悩みや不安の原因になりがちなので、明確にしておくと安心感を得られます。  

ライフラインチャートで見えてくる自分らしさ

ここからは具体例をもとにライフラインチャートの作り方と、そこから見えてくることをご紹介します。

<プロフィール>
S織さん
30歳の会社員女性。大学進学を機に一人暮らしを始め、アルバイトやサークル活動を経験。自分らしく充実した学生時代を満喫後に就職。現在は既婚・子どもはなし。夫と2人暮らし。

S織さんの印象に残ってるライフイベントがこちらです。

<S織さんのライフイベント>
(1)21歳 就職活動で希望している業種から内定がなかなか出ず、つらい日々が続く。
カテゴリ:仕事 5段階評価:だめだった

(2)22歳 就職・無事に希望していた業種で働けることになったが、学生と社会人とのギャップに毎日疲弊して過ごしていた。
カテゴリ:仕事 5段階評価:だめだった

(3)26歳 仕事にも慣れてきたため、プライベートでは趣味の旅行で多くの海外に行き、さまざまな知識や経験を得られた。
カテゴリ:自分 5段階評価:最高!

(4)28歳 仕事では希望していた本社へ異動したが、思っていた仕事とギャップがあり落ち込む。
カテゴリ:仕事 5段階評価:びみょう

(5)29歳 プライベートでは結婚するも、家事と仕事の両立に悩む。また、体調不調のため検査したところ、婦人科系疾患の疑いがあることが発覚。検査を受ける日々が続く。
カテゴリ:健康 5段階評価:びみょう

(6)30歳 配偶者の理解もあり、家事と仕事のバランスを上手くとれるようになってきた。また、コロナでペンディングになっていた新婚旅行にもようやく行くことができ、とても幸せな日々を過ごしている。
カテゴリ:家族 5段階評価:よかった

こちらをチャート化すると以下のようになり、これまでの気持ちのアップダウンがパッと見てわかるようになります。



S織さんのライフラインチャートから見えてくること

それぞれのライフイベントについてくわしく見ていくと、22歳と28歳のときに、イメージと現実のギャップに落ち込んでいます。S織さんは「予想どおりになること=正解」と考えすぎているのかもしれない……ということが見えてきます。

また全体の印象として、「できたこと(希望の業種への就職や本社への異動など)」よりも「できなかったこと」をピックアップしている傾向にあるのも気になる点。成果に目を向けられないクセがついているか、もしくはそれらが「本当にやりたいこと」ではなかった可能性も考えられます。世間の風潮や周囲の意見に影響を受け、本心に合わない目標を立ててしまう方は少なくありません。

こんなふうに、あなたもライフラインチャートから自己分析を行ってみてください。きっと、これまで自覚していなかった思考のクセなど発見があると思います。  

自分らしさに気づけたら、次は心と向き合う練習をしてみよう


今回ご紹介したS織さんのように、予定から逸れることを恐れる方は多くいます。しかし、人生はそういうもの。過度に落胆しないためには、そのときどきの自分の心に従って選択できるようになることがポイントです。

心と向き合うには、まずルーティン化している行動を心の声に従って選択することから始めるのがおすすめです。通勤の道のりやランチのメニューなど、人生への影響が少ない選択で「心の声を聞く機会」を増やしてください。こうした練習をせずに離職や転職などの重大な選択をすると、根本の問題を解決できていないので、また同じように落胆してしまう可能性が高くなってしまいます

本音を見つけられるようになれば、幸せな人生を切りひらけるはず。ライフラインチャートを作ることから、その一歩を踏み出してください。

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